先日息子が風邪をひき、高熱が何日も続き、そのうちに咳も激しくなり、夜間応急診療にかかることになりました。応急診療にはいろいろな先生が当番制で入っているので、たいていは初めてお会いする知らない先生の診療を受けることになります。
その夜、呼ばれて診察室に入ると、不機嫌そうな顔をした男の先生。最初からムッとしたような表情で、小さな声で顔も上げずに何やらブツブツ。
<あちゃー、今日は外れたな~。>と早速ブルーになりかける私。
<何言ってるか聞こえないけど、でもとにかく症状を伝えなきゃ。>と少し焦る。
妙な空白の後、
私:「ええっと、火曜日にまず受診しまして・・・。」
医者:「 何を?」
私:「えっ?えっと、小児科を。」
医者:「だから、何でっ?」
私:「ええと、熱と鼻水と咳です。」
と、いきなりちぐはぐな会話。しかもすでに怒られそうな勢い。何だか、さっそく身も心もしゅーんとなりそうなそんな瞬間。使えました、アレクサンダーテクニーク。
まずは、そんな中でも自分を素早く観察。
<ああ、首がカチカチだな。伝えなくちゃいけない情報は頭の中にあるのに、何かがブロックしていて、口から出てくるまでに時間がかかってるらしい。声が上ずっている、呼吸が浅いな。>
それから、大切な現実の把握。
<私は何か悪いことをしたのか?いいや、まだ何もしていない。この先生を怒らせたのか?いいや、入った時から不機嫌な顔してたし、元々こういうしゃべり方なのかも。>
今、私のすべき事は?
<息子の症状と経過をこの先生に正確に伝え、適切な診断と薬をもらうこと。>
このように、自分の状態に気付くことと、現実の把握は、慣れてくると、相手と喋っている最中にも出来るようになります。
すでに頭が真っ白になっていても、声が上ずってしまっていてもいいのです。その状態に気付くことが大事です。気付いたら、やめればいいのです。
やめ方はいろいろあります。私の場合は、頭が白くなると、足が地面についている感覚をよく忘れるので、まず足と地面の着地面を思い出します。私には二本の足があったな、と。それを思い出すと、ジワジワと身体の感覚が戻ります。頭と脊椎が出会ってる部分は、もちろん楽にしてあげます。そうしたら呼吸もずいぶん楽になります。フリーズしかけていた頭が再び回り出し、伝えなければいけない情報が、とどこおりなく脳から口へと運ばれるようになります。
この一連の流れを、相手と話しながらでも、気付かれずにひそかに同時進行することは、可能なのです。(普段から、それほど緊張しない場面で実践しておくことは必要だとは思いますが。)
落ち着きを取り戻した私は、相手の不機嫌そうな様子に左右されることもなく、自分のやるべきことを淡々と行うことができました。
結局息子はレントゲンで肺炎ではないことを確認し、吸入までしてもらい、新しい薬をもらって帰りました。新しい薬は良く効いて、その夜からめきめき回復しました。
後日他のママ達と話すと、
「あー、あの先生ね、いつもあんな感じよ。看護師さんが横で通訳してくれるのよ〜(笑)。 でも、検査とかはきっちりやってくれるし、薬も効くのよね~。」
とのこと。確かに息子はお陰ですっかり回復しました。
頭が白くなりそうなその瞬間、あなたの強い味方は実はあなた自身です。そして、そのあなたの能力を存分に発揮するサポートをしてくれるのがアレクサンダー・テクニークなのです。
皆さんも試してみて下さいね。
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