私がアレクサンダー・テクニークに出会ったのは、20歳代後半の頃でした。たまたま音楽家である姉が外国でこのテクニークに出会い、教師になるトレーニングを始めたのがきっかけでした。姉がやっていることがどういうものなのか軽い興味を持ち、日本でレッスンを受け始めたのです。
最初は「自分は音楽家でもないし、舞台に出るわけでもないから、私には関係ないものだろう。」と思っていました。特に生活に支障が出るような身体の痛みを抱えていたわけでもありませんでしたし、舞台上でのあがり症を何とかしたい、というような、望みもありませんでした。
まず、連続で10回レッスンを受けました。当初は何だか全身が緩んだ感じで、夜になると電池が切れたように倒れるように寝てしまったり、何となく腕が長くなったような感覚があったりもしました。しかし、何か特別な目的があって受けた訳でもなかったので、このテクニークについてあまり良く分からない・・・というのが正直な感想でした。しかし、「何だかよく分からないけれど、もっと知りたい。」という気持ちが強く、また10回、更に10回とレッスンを受けました。そして、そのうちにちょうど、関わっていたビジネス部門が閉鎖されることが分かり、これからの人生をどう生きていきたいか、ということを考える転機のようなものが訪れました。
その頃は、まだ自分が何者かも、何が本当にしたいのか、何が強みなのかも分からないでいましたが、何となく自分の持つ「質」というものを活かせることがあるのではないかと、漠然とは思っていました。そして、その後直感的に教師になるためのトレーニングコースに入学し、本格的にこのテクニークを学ぶ決心をしたのです。
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